FXの取引において重要なのは、適切なタイミングでエントリーしたり決済をすることです。

適切なタイミングを読み取るためには、他の投資家がどのように相場を見ているのか、どのような取引をしようと思っているのかを判断する必要があります。

そのような分析に特化しているのが「フィボナッチリトレースメント」です。

フィボナッチラインを使うことによってトレンドの押し目や戻り目でのエントリーポイント、利確のタイミング、損切りポイントなどを判断することができます。

そこで今回は、フィボナッチリトレースメントの使い方や利用する際の注意点についてご紹介していきます。

FXにおけるフィボナッチとは?

ではまず、FXにおけるフィボナッチとは何のことを指すのかについて見ていきましょう。

FXのフィボナッチとは、フィボナッチ数列の黄金比率をチャートに反映して値動きを予想するテクニカル分析方法です。

フィボナッチ数列の黄金比率とは、人間が心地よく感じる比率と言われており、1:1.618がベストと考えられています。

フィボナッチを使ったテクニカル指標

フィボナッチを使ったテクニカル指標は、全部で5種類あります。

最も利用されているのは「フィボナッチリトレースメント」ですが、それ以外の手法も知っておくことによってより効率よく取引を進めることができるでしょう。

フィボナッチリトレースメント

フィボナッチリトレースメントとは、多くの投資家から愛用されているテクニカル指標です。

フィボナッチリトレースメントで見ることができるのは、トレンド中に調整がどこまでいくのかという点です。

基本的には23.6%、38.2%、50.0%、61.8%がフィボナッチラインとして表示されるのですが、38.2%、50.0%、61.8%が押し目や戻り目として機能しやすいと言われているので、よく利用されています。

フィボナッチラインを引くことによって上昇トレンド中に調整によってどれくらい下落するのか、下降トレンド中に調整によってどれくらい上昇するのかの目安を計ることができます。

そのため、主にエントリーポイントを探す時に使われるテクニカル指標です。

フィボナッチ・エクスパンション

フィボナッチ・エクスパンションはエントリーした後にトレンドがどこまで進むのかを見ることができるテクニカル指標です。

トレンドの値幅を基本とし、調整後の値幅を61.8%、100%、161.8%の3つのラインで表します。

上昇トレンドが発生した際に、調整による下落が起こり、再度上昇するタイミングを見てフィボナッチ・エクスパンションを表示させます。

上昇トレンドの押し目や下降トレンドの戻り目が決定したタイミングでフィボナッチ・エクスパンションを利用することによって、利益確定のポイントを探ることができます。

フィボナッチ・タイムゾーン

フィボナッチ・タイムゾーンとは、時間を主軸として考えるテクニカル指標です。

上昇・下降の起点と終点にラインを引くことによって、フィボナッチ数列に該当するタイミングを知ることができると言われています。

そのことにより、相場の転換点を予測することができます。

しかし、フィボナッチ・タイムゾーンは時間が主軸となっているため、これだけでエントリーのタイミングを決めてしまうと、ダマシにあう可能性も高いと考えられています。

そのため、価格を主軸とした指標も併せて利用することが重要でしょう。

フィボナッチ・ファン

フィボナッチ・ファンとは、相場の勢いを見るテクニカル指標です。

安値・高値を指定することによって角度の緩いラインが複数表示されるため、指定したトレンドよりも何%弱いのかを見ることができます。

フィボナッチ・ファンで示されるラインはサポートラインやレジスタンスとして機能するため、押し目買いや戻り目売りのタイミングの目安として活用することをおすすめします。

フィボナッチ・アーク

フィボナッチ・アークとは、値幅と時間を軸としたテクニカル指標です。

トレンドの高値と安値を指定してフィボナッチ比率の円状のラインを引きます。

そのことによって、値幅だけではなく、時間に対してもフィボナッチ数列を使った分析ができるという点が特徴です。

このラインはサポートやレジスタンスとして機能するので、フィボナッチ・リトレースメントと同じように使われることが多いです。

フィボナッチ・リトレースメントの引き方

フィボナッチ・リトレースメントは簡単にラインを引くことができる便利なテクニカル指標です。

そのため、多くの投資家に利用されています。では、フィボナッチ・リトレースメントはどのように引いたらよいのでしょうか?

ここからは、フィボナッチ・リトレースメントの引き方をご紹介していきます。

トレンドの発生を確認

フィボナッチ・リトレースメントを利用するのは、トレンドが発生している時です。

逆にレンジ相場の時には使いづらいと言われています。そのため、まずはトレンドが発生していることを確認する必要があります。

トレンドの発生が確認できたら、フィボナッチ・リトレースメントを引いてみるようにしましょう。

トレンドの高値と安値を結んでラインを引く

トレンドの発生を確認したら、明確に高値と安値が形成されるのを待ちます。

形成されたら高値と安値を結ぶことによって、61.8%のラインが表示されます。

どこの価格を結べばいいか分からないという時には、長い時間軸で見てみることをおすすめします。

前日の価格も見てみて、いつくかのパターンを試してみるといいでしょう。

5つの比率に注目する

フィボナッチ・リトレースメントで表示されるのは、23.6%・38.2%・50.0%・61.8%・76.4%の5つです。

この3つの水準のそれぞれの特徴を理解しておくと、有利に取引を進めることができるでしょう。

23.6%:高値に近い価格

23.6%は、5つの水準の中でも高値に近い価格となります。

そのため、トレンドが強い時には23.6%が機能することが多くあります。

38.2%:よく使用される

38.2%は価格が少し逆行した際に機能すると言われる水準です。

23.6%よりも使用することが多く、着目すべき水準だと言われています。

50%:見やすく使いやすい

50%はちょうど真ん中の位置となるので、誰でも見やすく使いやすい水準だと言われています。

きりのよい数値ですし、多くのトレーダーが気づくのでここでレートが反転することが多いです。

61.8%:メジャーな数値

61.8%は最もメジャーな数値だと言われています。

深い押しが発生した時に機能することが多いので、トレンドが強い時にはあまり機能しません。

フィボナッチ・リトレースメントの使い方

では、フィボナッチ・リトレースメントはどのような使い方ができる指標なのでしょうか?

押し目と戻りのタイミングを見極める

フィボナッチ・リトレースメントはトレンドが発生している時の調整の深さを予想することができるテクニカル指標です。

押し目や戻りはフィボナッチ・リトレースメントのラインで反発して大きなトレンドに戻ることが多いので、タイミングを見極めることができるでしょう。

トレンドの転換を見極める

フィボナッチ・リトレースメントのラインで反発することが多いため、トレンドの転換を見極めることができます。

23.6%のラインで反発した場合には上昇も小さくなるケースが多いですが、50%程度の大幅な調整が起きた時にはトレンド転換になりやすいと言われています。

どこのラインで反発したかを見ることによって、どれくらい反発するのかを予想することもできます。

サポートやレジスタンスのラインとして使う

大きな時間軸で見ている時にレンジ相場のような推移をしている場合、サポートラインやレジスタンスラインとして利用することもあります。

ほかの手法と併せることによって、より強いポイントを見つけることができるでしょう。

逆張りの時に使う

フィボナッチ・リトレースメントはトレンドが発生している時の調整でエントリーするという方法です。

そのため、逆張りの時にも使用することができると言われています。

機能すると思われるラインに触れる時に反対側にエントリーすることで、より優位にトレードを行うことができます。

フィボナッチ・リトレースメントを使用する時の注意点

フィボナッチ・リトレースメントは便利な手法のように見えますが、万能ではありません。

そのため、使用する時に注意しておくべきこともあります。

そこでここからは、フィボナッチ・リトレースメントを使用する時の注意点をご紹介していきます。

ラインは水準として引く

フィボナッチ・リトレースメントのラインを引く際には、より正確に引く必要があると考える方も多いでしょう。

しかし、フィボナッチ・リトレースメントのラインはあくまでも黄金比率となる価格がどこにくるかを見るための水準にすぎないので、正確に引かなくてもよいと考えられています。

だいたいの目安で引いて分析を行うようにしましょう。

時間差がなくラインに触れる時には注意

ほとんど時間差がない状態で複数のラインに触れている場合、大きな急変動が起きていることが分かります。

そのような時にはフィボナッチ・リトレースメントは機能しない場合が多いです。

フィボナッチ・リトレースメントを使うのは、相場が落ち着いている時にしましょう。

単体で判断するのは難しい

フィボナッチ・リトレースメントはエントリーポイントを探すことのできる手法です。

しかし、フィボナッチ・リトレースメントだけでは反発ポイントを正確に見極めたり、トレンドの強弱を計ることはできません。

そのため、他のテクニカル指標と併せて使うことによって、より正確な判断を下すことができるでしょう。

フィボナッチ・リトレースメントの活用テクニック

では、フィボナッチ・リトレースメントはどのように活用するとより確実に利益を出すことができるのでしょうか?

具体的な活用テクニックについて見ていきましょう。

相場の方向性を見極める

まずはフィボナッチ・リトレースメントを利用する前に、相場の方向性を理解しておく必要があります。

そのため、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析を活用して、現在の相場やトレンドがどのようになっているのかを把握するようにしましょう。

トレンドを理解したら、フィボナッチ・リトレースメントを表示させます。

61.8%ラインに注目

フィボナッチ・リトレースメントの中で最も正確性が高いのは、61.8%のラインです。

このライン付近まで下がってきた場合、エントリーする準備を行いましょう。

その後、61.8%で再びトレンド方向に動いたことが確認できたら、エントリーを行います。

損切りポイントは100%ライン

61.8%ラインのところでエントリーをした場合、万が一相場が逆に動いた時のことも想定しなければいけません。

損切りポイントとなるのは、フィボナッチ・リトレースメントの100%付近になった時です。

100%を下回る際には下降トレンドが進む可能性があるので、早めに損切りを行うようにしましょう。

エリオット波動と組み合わせる

フィボナッチ・リトレースメントを使う際に、併せてエリオット波動も見ておくことによってより確実にエントリーを行うことができます。

チェックするべきなのは、エリオット波動理論の3波目です。

1波目でエントリーを行うとリスクが高くなり、5波目だとトレンドがすぐに終わってしまう可能性があるので、3波目を見ておくといいでしょう。

61.8%のフィボナッチ・リトレースメントのラインにタッチした後、エリオット波動理論の3波目にしっかりと入ったことを確認してからエントリーすることによって、より確実な取引を行うことができるでしょう。

まとめ

いかがでしたか?フィボナッチ・リトレースメントはフィボナッチ数列を使ったラインを引くことによって、エントリーポイントを探すことができる指標です。

視覚的に見やすいため、多くの投資家に利用されているテクニカル指標です。

ただ、フィボナッチ・リトレースメントだけだと正確な判断を行うのは難しいため、他のテクニカル指標と併せてチェックしてみることをおすすめします。

おすすめの記事