FXのテクニカル分析の方法の1つとして、グランビルの法則があります。

グランビルの法則を利用する投資家の方はかなり多く、より多くの情報を用いて最適な売買のタイミングを見極めることができると考える方はたくさんいることでしょう。

 

では、グランビルの法則とはどのように利用する分析方法なのでしょうか?具体的な使い方についてご紹介していきます。

グランビルの法則とは?

グランビルの法則とは、1962年に米国の証券アナリストであるジョセフ・グランビルさんが公開したチャート分析の際に用いられる法則のことです。

比較的新しい分析方法ではありますが、ジョセフ・グランビルさんが移動平均線やゴールデンクロス等のさまざまなFXの分析方法を生み出した方であり、より信頼性の判断ができる方法であることが認められているため、すぐに多くの投資家の中で利用されるようになりました。

元々株式投資の分析方法として用いられていましたが、FXやCFDなどさまざまな投資方法で利用することができる点が特徴と言われています。

グランビルの法則の基本的な考え方

ではまずは、グランビルの法則の基本的な考え方について見ていきましょう。

グランビルの法則とは、移動平均線を使った分析方法です。

その際に最も有効なのが「200日移動平均線」だと言われています。

200日移動平均線から現在の相場がどれくらい乖離しているのかを見ることによって、売買のタイミングを計ります。

ただ、移動平均線は期間が長くなればなるほど機能しやすくなる反面、チャンスが訪れないというデメリットもあるので、200日移動平均線にこだわることなく、違う期間を試してみることも重要でしょう。

グランビルの法則の8つの売買パターン

グランビルの法則には、8つのパターンがあると言われています。

具体的には、買いポイントが4つ、売りポイントが4つとなっています。

現在の相場と移動平均線の関係性がどのようになっているのかを現在の相場の動きに当てはめてみていくという方法が、グランビルの法則となります。

そこでここからは、グランビルの法則の8つのパターンについて見ていきましょう。

グランビルの法則1:新規買い

まず買いポイントの1つ目が新規買いです。

移動平均線が横這いもしくは上向きになっている時に、現在の為替レートが移動平均線を下から上に抜いた場合のことを指します。

つまり、移動平均線と為替レートのゴールデンクロスになっている状態です。

この状態の時は、新規買いのタイミングとなります。

これは最も重要なサインとなりますので、見逃さないようにしましょう。

グランビルの法則2:押し目買い

買いポイントの2つ目は押し目買いです。

移動平均線が上昇している時に為替レートが一時的に移動平均線を下回ったものの、その後移動平均線に変化がなかったことにより為替レートが再度上に抜いた場合のことを指します。

この状態は押し目買いのチャンスです。

より安いタイミングでエントリーすることができるので、大きな利益を狙うことができます。

この時のポイントは、為替レートが下回った後に移動平均線に変化がないかどうかです。

変化がある場合、押し目買いをしてしまうと損をする可能性もあるので注意しておきましょう。

グランビルの法則3:買い増し

買いポイントの3つ目は買い増しです。

移動平均線が上昇している時に為替レートが下降して移動平均線に近づいてきたけれども、結果的に触れることはなく再上昇していく状態のことです。

移動平均線が上昇しているということは上昇トレンドの中での一時的な下降であると言えるので、追加で買い増しをするとよいと言えます。

グランビルの法則4:短期の買い

買いポイントの4つ目は短期の買いです。

移動平均線が下落している時に価格が移動平均線を下に抜けて大きく下落した時や、移動平均線から大幅に離れて下降した状態のことを指します。

この時は大幅に価格が下がっているため、より安く買うことによって移動平均線のところまで反発した時に売りぬいて大きな利益を獲得することを狙います。

しかし、この法則では売るタイミングも重要となりますので、こまめに相場をチェックすることが重要でしょう。

グランビルの法則5:新規売り

 

売りポイントの1つ目は新規売りです。

移動平均線が横ばいもしくは下に向き始めた時に、為替レートが移動平均線を下に抜いたら売りのサインとなります。

つまり、移動平均線と為替レートのデッドクロスとなっています。

これは強いサインとなりますので、確実に売り抜けるようにしっかりとチェックしておきましょう。

グランビルの法則6:戻り売り

売りポイントの2つ目は戻り売りです。

移動平均線が下降している時に為替レートが移動平均線を下から上に抜いたものの、その後移動平均線が変化することがなく、再度為替レートが下落して上から下に抜いた時のことを指します。

この価格が一度高騰した際に打っておくと、より高値で売り抜くことができるでしょう。

グランビルの法則7:売り増し

売りポイントの3つ目は、売り増しです。

移動平均線が下降している最中に為替レートが上昇して移動平均線に近づいたものの、結果的には移動平均線に触れることはなく再下降した状態のことを指します。

この時は売りのサインです。まだ保有している取引があれば、売っておくとよいですし、売りからエントリーするという方法もありでしょう。

グランビルの法則8:短期の売り

売りポイントの4つ目は、短期の売りです。

移動平均線が上昇している最中に、為替レートが移動平均線の上を抜けて大きく離れていっている時や移動平均線から大きく乖離して上昇していく場合のことを指します。

この場合には、最も価格が高くなっているところで売っておくと、より大きな利益を獲得することができるでしょう。

グランビルの法則を利用する際のベストな移動平均線

グランビルの法則は、元々200日移動平均線をベースとして作られた理論です。

これほど長めの期間設定になっていた理由として、ダマシを極力少なくして信憑性のある理論を構築するためだと言われています。

しかし、200日のように期間を長くすると、ダマシは少なくなる反面売買サインが表示される回数も減ってしまいます。

逆に5日の移動平均線のように、移動平均線の期間をかなり狭くすると、売買サインは多くなりますがダマシも増えてしまうため、注意が必要です。

このようなことから、グランビルの法則を使って分析を行う際には20日・21日・25日・75日が使われることが多くなっています。

最初はどの期間を使ったらいいか迷ってしまう方も多いと思いますが、さまざまな期間を試してみて、自分が使いやすい期間を総合的に判断するといいでしょう。

グランビルの法則の使い方

では、実際にFXの取引の中でグランビルの法則を使う場合、どのようなやり方で行えばいいのでしょうか?

自分が見極めやすいタイミングで取引する

グランビルの法則にはそれぞれ4つの買いサインと売りサインがあります。

そのすべてのサインを見ようと思うとなかなか判断しづらくなってしまうでしょう。

そこで、慣れるまでは自分が見極めやすいサインを重視して取引を行うことをおすすめします。

初心者の方の場合、ゴールデンクロスを見極めるのがもっとも簡単だと言えます。

売りの場合は、デッドクロスがおすすめです。

自分が使いやすいものから行うことによって、より安定した取引を行うことができるでしょう。

複数のテクニカル分析を合わせる

グランビルの法則はかなり優秀なテクニカル分析の手法と言われており、多くの投資家が長年利用しています。

しかし、絶対に正しい判断ができる万能な分析方法というわけではありません。

そのため、他のテクニカル分析と組み合わせて分析を行う必要があります。

相性のよい方法と合わせることによって、より根拠を持って判断を行うことができるでしょう。

流動性も加味して判断する

グランビルの法則を行う際には移動平均線の日数を注意する必要はありますが、流動性の高さにも着目しておく必要があります。

流動性の低い通貨ペアを使っている場合、移動平均線ではシグナルが出ていたとしても世界的に注目されることはなく、結果的にシグナルが発生しないというケースもあるようです。

そのため、グランビルの法則を利用する際にはある程度人の目に触れる流動性の高い通貨ペアを利用することをおすすめします。

グランビルの法則と相性のよいテクニカル分析方法

先ほどもご紹介したように、グランビルの法則はテクニカル分析と合わせて使うことによってより正しいサインを判断することができると言われています。

では、何と合わせることによってより効果を発揮するのでしょうか?

ダウ理論

ダウ理論とは、19世紀末からテクニカル分析の基礎として使われてきた方法です。

ダウ理論は基本的にトレンドを短期・中期・長期の3つに分類され、トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続するという理屈があります。

ダウ理論とグランビルの法則を一緒に使うことによって、エントリーを行う理由をより明確にすることができるので、どちらも覚えておくことをおすすめします。

ボリンジャーバンド

ボリンジャーバンドとは、ローソク足を囲むようなバンドが表示されることによって一目で相場の変動幅を見ることができるというテクニカル分析方法です。

6つのバンドで成り立っており、買われすぎや売られすぎをチェックすることができる手法です。

ボリンジャーバンドを使う時には移動平均線も併せて利用するので、グランビルの法則との相性もよいと言えるでしょう。

グランビルの法則を利用する際の注意点

相場の売買タイミングを見極めるのに最適だと言われているグランビルの法則ですが、利用する際に注意しておきたい点もあります。

そこでここからは、グランビルの法則の注意点についてご紹介していきます。

初心者は他のテクニカル分析と組み合わせない

グランビルの法則は基本的には他のテクニカル分析と組み合わせて使うことがおすすめされています。

しかし、FX初心者の方はグランビルの法則と他のテクニカル分析を組み合わせるのにあまりおすすめできません。

2つのテクニカル分析を組み合わせると、豊富な情報量を一度に整理して考えなければいけないので、適切な判断ができなくなってしまって失敗してしまうリスクがあります。

そのため、初心者のうちはグランビルの法則だけを使ってテクニカル分析に慣れ、ある程度慣れてきたら他のテクニカル分析と組み合わせることをおすすめします。

 

短期間の値動きの予想には適さない

グランビルの法則は基本的に長期的な投資向けのテクニカル分析方法だと言われています。

そのため、1日の間の値動きを判断して利益を出すデイトレードやスキャルピングのような取引方法には適さない方法です。

そのため、グランビルの法則を使う場合は長期的な目線を持って取引をすることが重要となります。

すべての売買のサインが出るわけではない

グランビルの法則は相場の本質を使った分析方法となっています。

しかし、相場はその時の事象や投資家の心情によって動き方が大きく変わるので、法則以外の動きをするケースも多くあります。

また、1つのチャートの中で必ずグランビルの法則のすべての売買サインが出るとも限りません。

そのため、最終的には自分で売買のタイミングを見極める必要があることを覚えておきましょう。

まとめ

いかがでしたか?グランビルの法則は相場の本質的な動きを分析する方法で、移動平均線と為替レートの動き方から判断することができます。

グランビルの法則は8つのパターンがあるので、どれに該当するのかをしっかりと判断して取引をすることが重要となります。

グランビルの法則を覚えておくとかなり便利な方法ですが、決して万能なわけではありません。

そのため、予想外のことが起きた時にどのように対応するのかを事前に準備しておいたり、他のテクニカル分析と併用することを検討した方がよいでしょう。

初心者の方は難しいと思いますが、最初はグランビルの法則での分析から始めて、他のテクニカル分析と組み合わせることを検討してみることをおすすめします。

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