FXのテクニカル分析方法は多数ありますが、その中でも初心者の方の頭を悩ませるのが「ボリンジャーバンド」ではないでしょうか?
ネットや本でも必ずといっていいほど取り上げられる有名なテクニカル指標で、正しく使えばエントリーや利確のポイントを教えてくれる有益なツールとなっていますが、間違った方法で取引を行ってしまうと大きく負けてしまう可能性もあります。
そこで今回は、ボリンジャーバンドの正しい使い方についてご紹介していきます。
ボリンジャーバンドとは?
ボリンジャーバンドとは、アメリカの投資家であるジョン・ボリンジャーが開発したテクニカル指標です。
ボリンジャーバンドではボラティリティを示す標準偏差が使われているので、相場の方向性を示したり次の値動きを予測することができるというツールになっているので、多くの投資家が利用しています。
ただ、変動する6つのバンドから成り立っており、少し複雑な仕様になっているため、正しい使い方を理解しておくことが重要となります。
ただ、正しく使えば順張りと逆張りの両方で使うことができるので、便利に利用することができるでしょう。
エンベロープとの違い
ボリンジャーバンドと似たようなインジケーターに、「エンベロープ」があります。
この2つの違いを理解していないという方も多いのではないでしょうか?
エンベロープとは、移動平均線を一定距離において上下に移動させたものを指します。
そのため、ボリンジャーバンドのようにバンドが収縮することはありません。
相場によってはボリンジャーバンドと同じくらいのところにある場合もありますが、異なる指標となるので注意しておきましょう。
ボリンジャーバンドの構成
ボリンジャーバンドは現在の為替レートの上に3つ、下に3つのバンドが構成されています。
それぞれ異なる標準偏差の値によって決められており、相場の動きによってバンドが収縮します。
標準偏差とは、ある一定期間の平均値からどれくらいのバラツキがあるのかを計算した数値のことを指します。
つまり、標準偏差の値が高くなればなるほど、ボラティリティが高くなっているということが言えます。
ではここからは、ボリンジャーバンドがどのようなラインで構成されているのかについて見ていきましょう。
構成1:移動平均線
ボリンジャーバンドは6つの標準偏差のバンドによって構成されていますが、その中でも最も重要なのが移動平均線です。
ボリンジャーバンドの中央に位置する移動平均線を意識することによって、より正しく相場との乖離を見ることができます。
構成2:標準偏差
ボリンジャーバンドの標準偏差のバンドは、+1σ・+2σ・+3σ・-1σ・-2σ・-3σの6つで構成されています。
それぞれ中央からの乖離の度合いを示しており、±3σが最も移動平均線よりも遠くなるということです。
FXにおいては、移動平均線からのバラツキはいずれセンターラインに収束する可能性が高いと言われています。
それぞれのバンドの中に収まる確率は大きく変わりますので、覚えておきましょう。
±3σの場合はバンド内に収束する可能性が99.7%、±2σの場合は95.4%となっているため、この中で価格が収まる可能性はかなり高いということができます。
標準偏差 |
バンド内に収まる確率 |
±1σ |
68.2% |
±2σ |
95.4% |
±3σ |
99.7% |
ボリンジャーバンドの代表的な動き方
ボリンジャーバンドの動き方にはある程度のパターンがあり、代表的なものは3種類だと言われています。
これを事前に頭に入れておくことによって、よりトレードがしやすくなるでしょう。そこでここからは、ボリンジャーバンドの代表的な動き方についてご紹介していきます。
代表的な動き1:スクイーズ
ボリンジャーバンドの代表的な動きの1つ目は、「スクイーズ」です。スクイーズとは、バンドの幅が狭まった状態のことを指します。
スクイーズの場合は中央にある移動平均線により近い状態となっており、レンジ相場になっていると考えられます。
そのため、次のトレンドに向けて準備をしている段階と言えるでしょう。
その後に強いトレンドが発生する可能性があるため、準備しておきましょう。
代表的な動き2:エクスパンション
ボリンジャーバンドの代表的な動きの2つ目は、「エクスパンション」です。
エクスパンションとは、バンドの幅が広がっていく状態のことを指します。
レンジ相場から徐々にバンドの幅が大きくなっていき、トレンドの入口となります。
このようなタイミングでは順張りをする準備をしておきましょう。
代表的な動き3:バンドウォーク
ボリンジャーバンドの代表的な動きの3つ目は、「バンドウォーク」です。
バンドウォークとは、バンドの近くに為替レートがある状態のことを指します。
ローソク足がバンドに追従するのが特徴で、強いトレンドの継続を示しています。
このタイミングでは順張りしやすいので、中央への戻りをチェックしながらもエントリーするといいでしょう。
ボリンジャーバンドを使った取引
ボリンジャーバンドは、トレンドの相場の際もレンジ相場の際も使うことができるテクニカル指標だと言われています。
その上、順張りでも逆張りでも行うことができるので、便利に使うことができるでしょう。
そこでここからは、ボリンジャーバンドを使って行うことができる取引について見ていきましょう。
順張りで取引する
順張りで取引をする際には、バンドの幅が徐々に広がっていくエクスパンションから為替レートが近くにあるバンドウォークになっている場面でエントリーする必要があります。
ボリンジャーバンドを使う場合の最も王道の手法と言われており、このタイミングでエントリーする必要があるでしょう。
決済を行うのは、値動きが落ち着いた時や中央へ収束した時となります。
逆張りで取引する
スクイーズ状態となっているレンジ相場の場合、逆張りの手法を使って利益を狙う必要があります。
逆張りで行う場合には、バンドの±2σをサポートライン、レジスタンスラインとして売買を行います。
逆のラインを抜かれた場合には、決済しておきましょう。
エクスパンションを狙う
ボリンジャーバンドを使って最も簡単に利益を出す方法としては、スクイーズからエクスパンションが発生するタイミングでエントリーをするという方法です。
スクイーズはレンジ相場となっているので、ボラティリティが小さく相場がまだ迷っている状態を指しています。
この時には今後の相場の動きに向けてエネルギーをためている状態と例えることができ、何かの出来事によってその拮抗が崩れると、一気にバンドが拡大してエクスパンションが起こります。
そのため、このタイミングを狙っていると大きな利益を獲得しやすいと言われています。
まずはチャートを見て、スクイーズが発生しているところを探します。
スクイーズを見つけることができたら、エクスパンションが起こるタイミングを狙います。
エクスパンションが起こったら、ローソク足がバンドの外側でクローズしたタイミングを見て売りエントリーを行います。
利益確定は、反対側のバンドが反転したタイミングです。
±1σを使ったトレード方法
ボリンジャーバンドを使う場合、±1σを利用してスクイーズとエクスパンションを待つという方法が定番ですが、±1σでも取引をすることができると言われています。
±1σを超えた段階でエントリーを行い、±2σで決済をすれば利益を獲得できる可能性は高いと考えられます。
その理由として、±2σ内に価格が収まる確率が95%となっているからです。
そのため、±2σの時点でポジションをクローズすれば、安心でしょう。
ただ、エントリー後に相場が反転する可能性も十分にありますので、その場合には真ん中にある移動平均線か-1σに到達した時点で損切りを行うようにしましょう。
ボリンジャーバンドを使う時の注意点
ボリンジャーバンドは順張りでも逆張りでも使うことができますし、トレンド相場でもレンジ相場でも活用することができるため、どのような場面でも便利に利用できるテクニカル指標だと言われています。
しかし、ボリンジャーバンドを使う際に注意しておくべきこともあります。
そこでここからは、ボリンジャーバンドを利用する際に気を付けておきたいことをご紹介していきます。
上位足のチャートもチェックする
自分が使っている時間軸だけてチャートを見るという方もいると思いますが、それだと全体像を見ることができません。
そのため、エントリーを行う際には必ず上位足も表示しておくようにしましょう。
そうすることによって、より大きなトレンドを見ることができるので、勝率が高いトレードを行うことができます。
急な相場の動きには対応できない
ボリンジャーバンドは相場のボラティリティを示した標準偏差を利用しているため、急な相場変動が起こってしまった時にはローソク足がバンドを突き抜けていってしまいます。
そのため、そのような際にボリンジャーバンドだけで判断するのは難しいと言えます。
しばらく待てばまたバンドが正常に機能し出すので、その時まではリスクを避けて休むようにするといいでしょう。
ボリンジャーバンドだけに頼らない
ボリンジャーバンドは視覚的に見やすいですし、さまざまな取引を行うことができるテクニカル指標なので、これだけに頼ってしまうという方もいるでしょう。
しかし、他のテクニカル指標を見らずに取引をしてしまうと、勝率が下がってしまう可能性が高くなります。
そのため、他の手法もしっかりとチェックして取引を行うことをおすすめします。
まとめ
いかがでしたか?ボリンジャーバンドは視覚的に見やすいですし、さまざまな場面で利用することができるテクニカル指標となっているので、使い方を覚えれば便利に利用することができると言われています。
しかし、相場の動きが大きい時には当てはまらないこともありますので、他のテクニカル指標と組み合わせて取引を行うことをおすすめします。