FXのトレードを行っている方であれば、「エリオット波動理論」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?
エリオット波動理論とは、FXのチャート分析の王道と言われる手法であり、たくさんある分析方法の中でも最高峰とのよび声の高い方法です。
では、エリオット波動理論とはどのような内容なのでしょうか?また、どのようにして利用することができる手法なのでしょうか?
今回はその詳細について分かりやすく解説していきましょう。
エリオット波動理論とは
エリオット波動理論とは、株式アナリストであるラルフ・ネルソン・エリオットという人物が考案した相場分析手法です。
テクニカル分析の方法は多数ありますが、その中でも最も人気のある手法で、エリオット波動理論を主に利用する「エリオティシャン」という方も存在しています。
エリオット波動理論は今の相場の値動きを見るというだけではなく、これまでの相場の値動きの歴史の周期に当てはめて予想するという方法です。
そのため、「相場にはサイクルがあって一定の値動きのリズムがある」という考え方が基本となっています。
エリオット波動理論の基礎
では、エリオット波動理論とは具体的にどのような構造となっているのでしょうか?
そこでここからは、エリオット波動理論の基礎を詳しく見ていきましょう。
上昇5波と下降3波のサイクルで構成される
エリオット波動理論では、上昇は5波、下降は3波の8つの波で構成されていて、それを繰り返しているという考え方が基本となっています。
時間軸の中にこの波はいくつも存在しており、大きな時間で見ても小さな時間で見てもこのような波の動きが続いていると考えます。
これをエリオット波動理論のフラクタル構造と言います。上記の画像は上昇トレンドの時で、下降トレンドの時は下記の画像のようになります。
エリオット波動理論の8つの波にはそれぞれ推進波と修正波があり、1波・3波・5波・A波・C波のようにトレンドの通りに価格が進んでいる波を推進波、2波・4波・B波のようにトレンドと反対に価格が動いている波を修正波とよびます。
エリオットには3つのルールがある
エリオット波動理論ではこの8つの波を基本として今後の相場がどのように動くかを予想していきます。
その際にぜひ注目した3つのルールがあります。
このルールを元に考えることによって、次の値動きが予想しやすくなりますので、覚えておきましょう。
エリオット波動理論の原則1
エリオット波動理論の1つ目の原則は、第3波についてです。
上昇トレンドの場合は1~5波で価格が高騰していきますが、推進波である1波・3波・5波のうち、第3波が一番短くなることはありません。
エリオット波動理論の原則2
エリオット波動理論の2つ目の原則は、第2波についてです。
修正波と言われる第2波は第1波のスタートよりも安値になることはありません。
第3波への折り返し地点は第1波よりも小さいところで起こると覚えておきましょう。
エリオット波動理論の原則3
エリオット波動理論の3つ目の原則は、第4波についてです。
修正波とよばれる第4波は第1波の高値よりも下回ることはありません。
第1波の高値に割り込むことなく第5波へと移行することを覚えておきましょう。
重要条件も覚えておこう
先ほどご紹介したエリオット波動理論のルールは、必要条件です。
そのため、このパターンを必ずチェックすることが必要となります。
しかし、それ以外にも重要条件となるいくつかのチェック項目もあります。
・第5波は第3波の高値を超えられない時もある
・第3波はすべての波の中で最も力強い動きになりやすい
・第2波と第4波はフィボナッチ比率のラインで反転することが多い
必ずこれを満たす相場になることはありませんが、覚えておくとより効率的に取引を進めることができるでしょう。
FXでエリオット波動理論を使うメリット
では、FXの取引においてエリオット波動理論を使ってテクニカル分析を行うメリットはどこにあるのでしょうか?
これほどエリオット波動理論が多くのトレーダーに利用されてきている理由とその魅力について見ていきましょう。
相場の局面を見ることができる
エリオット波動理論は8つの波によって構成されるという考え方に基づいて分析を行います。
そのため、エリオット波動を相場の中で見つけることができると、現在相場がどのように展開されているのかを見ることが可能です。
まず最初に相場の中に上昇波を見つけたら、次に上昇第5波がくるまで待ちます。
実際に波がきたら、ポジションを変えながら取引を行っていきます。
取引のタイミングになる
エリオット波動理論を使えば、次の波はどれくらいまで動くかを予測することができます。
そのため、タイミングを見計らって利確を行うことができます。
想定していた動きをしていない場合にはエリオット波動理論に該当しないことも考えられるので、その場合にはすばやく損切りの判断を行うこともできるでしょう。
どの時間軸を見ても使うことができる
エリオット波動理論はどの時間軸でも見ることができます。
その理由としては、どの時間軸でもエリオット波動を形成しているという理論となっているからです。
まずは長い時間軸でエリオット波動を確認し、次に短い時間軸の中で同じような波が形成していることを確認するようにしましょう。
テクニカル分析でFXを使う時のポイント
エリオット波動理論は投資家に最も利用されているFXの定番テクニカル分析方法です。
しかし、エリオット波動理論だけで性能の高い分析が行えるわけではありません。
そこでここからは、エリオット波動理論を使う時のポイントについてご紹介していきます。
他のテクニカル分析と併用する
エリオット波動理論はとても便利な方法ですが、必ずしもこの波が成立するとは限りません。
実際に第一波のようなものが現れたとしても、その後必ず第2波に続くわけではありません。
そのため、エリオット波動理論だけを使ってテクニカル分析を行うのはデメリットが高いと言えるでしょう。
FXのテクニカル分析を行う時には、まずは他のテクニカル分析を行い、エリオット波動理論が該当する相場になった時に利用するという流れをとりましょう。
エリオット波動理論と併用するのであれば、フィボナッチとダウ理論が最も使いやすいと言われています。
フィボナッチ
フィボナッチとは、人間が本能的に心地よいと感じるフィボナッチ比率がチャートに反映されると言われているテクニカル分析方法です。
フィボナッチは押し目や反転、利食いポイントなどを見極める手段として利用されています。
エリオット波動理論にフィボナッチツールを組み合わせることによって、どこまで戻るのかを判断しやすくなるでしょう。
ダウ理論
ダウ理論とは、主要トレンドは3段階からなるという考え方のあるテクニカル分析方法です。
ダウ理論では、一部のトレーダーが仕込みをする「先行期」、多くのトレーダーが参入して本格的な上昇が始まる「追随期」、勝ったトレーダーが利確する「利食期」に分けられると言われています。
これはエリオット波動理論にも当てはめることができ、先行期は上昇1・2波、追随期は上昇3・4・5波、利食期は下降3波になるということです。
そのため、エリオット波動理論とダウ理論を合わせてみることによって、より明確な根拠を持ってトレードを行うことができるでしょう。
3波目を狙う
エリオット波動理論でいうと、3波目に当たる時期が最も価格が伸びると言われています。
その理由は、先行期に大口トレーダーの仕込みが終わり、それに伴って最も値幅が伸びるという市場心理が働くと考えられているからです。
事前に第1波や第2波に気づいておけば、その後に大きく利益を狙うことができるので、第3波目を狙うことをおすすめします。
8波のそれぞれの特徴
エリオット波動理論では8つの波を使って相場の分析を行います。
では、1つ1つの波にはどのような特徴があるのでしょうか?具体的に見ていきましょう。
1波:プロの投資家がエントリーを始める
1波は下降トレンドが継続している状態と感じたり、ただの戻しだと判断されることが多いです。
しかし、プロの投資家はこの機会を見逃さずにエントリーを始めることが多くあります。
2波:安値更新を狙うことが多い
2波になると、戻り売りを期待したり安値更新を期待してエントリーする投資家が増えます。
下げが深いこともあるので、1波の起点まで下がることを考えて取引するといいでしょう。
3波:最も値幅が伸びやすい
3波は最も大きな値幅になる可能性が高い波だと言われています。
この頃になると、エリオット波動が形成されていると気づく投資家も多くなるので、ここで取引を始める方も多いでしょう。
4波:横這いになりやすい
4波は比較的横ばいになることが多い波です。
波形が特定しやすいので、分かりやすいと感じる投資家も多いでしょう。
5波:値幅には大きな差が出る
5波になると上昇トレンドが明確に形成されていると判断する一般の投資家が増えるため、強気に買う方も増加します。
そのため、大幅に価格が伸びることもあるようです。
ただ、プロの投資家は修正波が近くなっていることを判断し、利確をする目安にしていることも多いようです。
エントリーするタイミングが遅くなると高値を掴んでしまうこともあるので、注意しておきましょう。
A波:さまざまな市場心理が入り乱れる
A波は上昇トレンドの調整と判断する投資家も多くいます。
しかし、このタイミングで離隔する方も増えますし、逆張りをするトレーダーもいるので、取引をする時には注意が必要です。
B波:高値更新はない
B波は修正波と気づかずに上昇トレンドの継続だと判断する方も増えます。
ただ、あまり高値を更新することはないので、気を付けておきましょう。
C波:損切りにより下がる傾向
C波が下落してA波の安値を割っていくと、損切りが起こるのでさらに価格が下がる可能性は高いです。
しかし、損切りをしたと思うと次の第1波が形成され、トレンドが復活することも多くあります。
そのため、見極めることが重要です。
まとめ
いかがでしたか?エリオット波動理論は最も人気の高いテクニカル分析方法です。
さまざまな時間軸によって見つけることができますし、トレンドが形成されれば初心者でも判断しやすいため、FXの取引をする際にはぜひ使いたい方法です。
しかし、エリオット波動理論だけで分析をすることは難しいので、相性のよい他の方法と併用して行うことをおすすめします。